「じゃ、また明日ね」 一駅前で降りた桃香に、充は満面の笑みで手を振った。 そして電車を降りてからは、鼻歌交じりで自宅へ向かう。 足取りが軽い。 軽すぎて、気を抜くとスキップをしてしまいそう。 それは何とか堪えつつ、顔がニヤけるのだけはどうにでもできなかった。 すれ違う人はそれを訝しげに見たりしていたけれど、充本人は全く気付くことがなく。 帰宅してから母に、 「あんた、気持ち悪いわよ」 と言われたのも無視して、部屋に篭ってドライブ雑誌を広げるのであった。 第一章