佐和子と入れ替わるようにして入ってきたのは、桃香だった。
「佐和子さんと何話してたの?」
「いや、別に……」
充はぶっきらぼうに答え、煙を吸い上げる。
佐和子も桃香も沢田も、みんな俺にだけ何も話さない。
そう思って拗ねているのだ。
「ねえ、あたし、あと30分くらいで上がれそうなの」
「ああ、そう」
「一緒に帰らない?」
穏やかに笑う桃香を見ると、充の胸は高鳴った。
一緒に帰らないかって?
そんなの……
「もちろん。是非」
こう答えるに決まっている。
ああ、もういっそのこと、無理矢理部屋に押しかけてやろうか。
押して押して、既成事実を作って……。



