「なに?」 「いや、いいよ。池田さんから言って」 「木下くんから言ってよ」 「やだ。池田さんのほうが少し早かったし」 しょうもない会話を遮るように、草むらから野良猫が飛び出した。 そのまま桃香のほうに駆け出し、軽く悲鳴を上げた桃香。 よろけたところを充がしっかりと抱きとめた。 残暑でじわりと汗が滲む。 しかし二人は離れようとしない。 道端の木陰で、二人はしっかりと抱き合った。