「憑いてるんだったらそろそろ池田さんに会わせてくんねーかな」
墓は傾きかけた日を反射するばかりである。
「街で茶髪のゆる巻きを見ると、ついつい顔を確認してしまうんだよ。わざわざ追いかけてさ」
恥ずかしい思いもしてきた。
「すみません、人違いでした」
と何度謝ったことか。
「あんたが憑いてるんだったら、人違いさせんなよ」
文句を言ってみたところで言葉は石に跳ね返され自分が聞くことになる。
「ある有名な漫画を読んだんだ。古本屋で全巻買って。未亡人と冴えない大学生の話。最後、その主人公が未亡人を嫁にもらう前。死んだ旦那の墓で、主人公が言ってたよ」
心なしか、石も興味を持ったように見えた。



