桃香の退職を知ってから、5年が経った。 彼女からの連絡は、まだない。 何の音沙汰もない。 生きているかどうかすらわからない。 桃香の暮らしていたマンションに足を伸ばそうと思えば伸ばせたが、待つと約束してしまった手前、桃香から連絡をもらうまではと近づかないでいる。 そうしているうちに、気付けば5年。 気付けば充も29だ。 「クモー! クモー!」 「パパー! クモがいるよー!」 二人の幼い子供たち。 彼らの声で、充はハッとした。