聞き覚えのある足音が近づいてきて、 「入るわね」 という声と共に桃香の母親がカーテンを開ける。 充と桃香はどちらからともなく少し距離を空けた。 「木下さん、でしたわね」 「あ、はい」 「林檎と飲み物を買ってきたの。食べていかれませんか」 充は立ち上がり、首を振った。 「いえ、僕はもう帰りますから」 「あら、そうですか」 母親と入れ替わるように移動して、充は桃香の方に振り向く。