恋愛とか、結婚とか、人生とか。
世の中にありふれているエッセンス。
一人の男として背負うべき諸々。
考え始めるとキリがなくて、大きく目の前に立ちはだかった。
だけど、考えたってしょうがない。
何かあったら、何とかする。
いい加減かもしれないけれど、桃香のことならどんな出来事にだって立ち向かっていく覚悟。
かつて死んだ彼だって、きっと同じ覚悟を決めたのだ。
桃香は手首の包帯で涙を拭った。
「木下くん。少し、時間をくれない?」
「時間?」
「そう、時間」
日が傾いて、オレンジ色の光が桃香を照らし始めた。



