桃香は驚いた顔をして口を閉ざした。 「そいつのこと、忘れなくたっていい。結婚なんてしなくてもいいし、付き合ってくれとも言わないよ。もっと言えば、俺のこと好きにならなくたっていい」 ヤケクソではない。 これが真意だ。 「そんなの、木下君にとって意味あるの?」 「あるさ」 「あたしじゃなくたってもっといい人、たくさんいるじゃない」 「そうかもしれないな」 「なによそれ」 泣きながら拗ねる顔をした桃香。 それを見て充は微笑む。 「俺さ、覚悟決めたんだ」