ダブルベッド


 幸せにしてやれる保証なんてない。

 彼を忘れさせてやれる自信だってない。

 だけどできる限り、生きるのが辛いなんて思わせないように頑張るから。

 捨てるくらいの命なら、あと数十年。

 過ぎてしまえばきっと、あっという間だと思うから。

「なんで……?」

 涙声の桃香がぽつりと漏らした。

「なんでそんなに、あたしに構うの?」

 好きだから。

 なんてもうわかっているくせに。

「あたし、絶対涼太のこと忘れたりできないよ?」

「忘れなくていいよ」