ダブルベッド


「放っとけるわけがないだろ」

 放っておければどんなに楽だろうか。

 こんなにも面倒な女なんて。

「しつこいようだけど、やっぱ好きなんだよ」

 ただ、好きになっただけなのに。

 普通の恋愛がしたかっただけなのに。

「いい加減受け入れてよ。俺の気持ち」

 なのに桃香はいちいち充を傷つける。

 失恋さえも普通にさせてもらえない。

 悔しくて、粘って、一歩近づいて。

 もう一歩近づこうとすると、離れて行く。

「やめてよ。言ったでしょ? あたし、もう誰も愛さない」