ダブルベッド


 そっと手首に右手をかける。

 真っ白な包帯はまるでリストバンドのようだ。

「痛いのよね。きっとしばらくは仕事も生活も不便だし、また病院に来なきゃいけないし」

「自業自得だよ」

「わかってるもん。だから次は、手首なんかやめて首にする」

 桃香はまだ諦めていないようだ。

「次はないよ」

 充は桃香を見据えた。

 桃香は憂いを含んだ視線を返す。

「絶対、ない。させない」

 桃香の眉間にしわが寄った。

「ほっといてよ。あたしのことなんて」