充はいろんな意味で安心していた。 まず、桃香が生きてきたこと。 意識不明の重体と聞いていたが、今では目覚め、変わらぬ姿できちんと話ができること。 そして、自殺未遂は自分のせいかもしれないと白状したのに、桃香の母が泣きも怒りもしなかったこと。 様々なことを覚悟していたが、幸運が重なった。 「意識、いつもどったの?」 「よくわかんない。何時間か前よ。自分の心電図の音で目覚めたの」 「気分は?」 「最悪。あれだけ覚悟して手首を切ったのに、無駄になったんだもん」