母親がカーテンを閉めてくれたため、病室の狭いこのスペースでは二人きりになった。 なんとなく気まずい空気が二人の間を流れる。 桃香は小さくため息をついた。 「また目覚めたんだ、あたし」 「目覚めるさ。生きてるんだから」 「死にたかったのよ」 「俺は死んでほしくない」 「生きてたって、涼太に会えないじゃない」 「死んだって会えるかわからないよ」 「少なくとも可能性はゼロじゃない」 「もうやめよう。平行線だ」 桃香はそうねと言って、脇の棚に置いてある水を飲んだ。