ダブルベッド


 充は迷いながら、こう答えた。

「友人です。ただ、僕は……桃香さんのことが好きなんです」

 母親は困った顔をした。

「でも、この子は……」

「知ってます。僕、振られたんです。亡くなった彼を愛しているからって。だから……」

 それ以上は言わなかった。

 母親も大体のことを察してか、納得したような顔をした。

「この子、これが初めてではないんです」

 自殺が、ということだろう。

「事故の日からしばらくは、毎日のように死にたがってました。落ち着いたと安心してたんだけれど、ね」