「桃香のお知り合いの方でしょうか……?」 母親と見られている女性は非常に疲れた顔をしており、目の下に濃いクマができていた。 「はい、同僚の木下と申します」 互いに会釈をする。 桃香に目をやると、すやすやと眠っている。 顔色も悪くない。 普段は寝相の悪い彼女が行儀よく仰向けに眠っていて、違和感を感じた。 「あのっ、桃香さんは……?」 「今は眠ってますが意識も戻りましたから、ご心配には及びません。ご迷惑をお掛けして……」 「いえ、とんでもない」