病院に到着すると、人々がせわしなく行き交っていた。 病室は6人部屋で、桃香のベッドはどうやら一番奥の右側。 淡い色のカーテンが隣のベッドと仕切るように引かれ、影から人がいることがわかった。 充は軽く緊張しながら一歩一歩近づく。 カーテンが完全に引かれておらず、ベッドの足側は開かれた状態になっているのが救いだ。 「あの……」 遠慮がちに覗き込む。 こちらを向いたのは中年の女性だった。 おそらく桃香の母親だ。