ダブルベッド


「あんな幸せをくれる人、涼太しかいないの」

「あんたはまだ生きてる。これからも、生きる。彼とは一緒にいられない!」

 あの日の口論。

 桃香はもしかして、彼のところへ行こうとしたのではないか。

 しかしそうなると……。

「俺のせいだ」

「え?」

「俺があんなこと言ったから……」

「あの、木下さん?」

 頭を抱えたまましゃがみこんでいる充。

 あまりの事態に手が震えていた。

「俺、金曜の深夜。日付が変わってからもしばらく彼女の自宅にいたんです」