「どうしたの? なんだか哀愁漂ってるね」 ヒカリの言葉に一瞬ドキッとした。 「そう?」 「うん。でもまあ、それはそれでカッコイイと思うけど」 「はは、ならこのまま漂わせとくよ」 何でも充にとって都合の良い方に捉えてくれる。 一緒にいて楽な人が良い、なんてよく言われるが、確かにそうかもしれない。 死んだ奴しか見えない桃香なんて……。 桃香なんて……。 どうしてこんなに、執着してしまうのだろう。 女なんて、他にたくさんいるのに。 ほら、今この助手席にも。