申し訳ない気持ちが小さく募っていく。 「見たんだけど、その時はまだどうなるかわかってなくてさ」 「予定があったの?」 「いや、なくなったよ」 「ほんと? じゃあいいよね」 「ああ、うん」 それから二人は待ち合わせの時間や場所を決め、電話を切った。 涼しい風が心地よくなってきて、充はこのまま歩いて帰宅することにした。 そしてその頃、桃香は一人出掛ける準備をしていた。 いつもの鞄に詰め込んだのは、まだ誰も指を通していない、結婚指輪だった。