ダブルベッド


 哀愁漂うエレベーターの中で、鞄にしまっていた携帯が震えていることに気付いた。

 取り出してみると、

 着信 ヒカリ

 と表示されている。

 しまった。

 すっかり忘れていた。

 もう何日も前に誘いのメールが来ていたのに。

 パネルの通話ボタンを押すのと同時に、エレベーターが一階に着いた。

「もしもし」

「あー、やっと出た」

「ごめんごめん。ちょっと立て込んでて」

「ふーん。てゆーかこないだのメール見てないの? 返事もらってないんですけどー」