ダブルベッド


 桃香の眉間にしわが寄る。

 充は構わず続けた。

「あんた愛してんのは死んだ彼だけじゃない。俺だって、俺だって……」

「勝手なこと言わないでよ」

「勝手?」

「涼太のこと何も知らないくせに!」

 桃香が激しく抵抗を始め、充は突き飛ばされる形でベッドから落ちた。

 体を起こした桃香が充を見下ろす。

「涼太は……心の底からあたしのこと愛してくれたもん。大事に大事に……あたしのこと包んでくれて……抱き締められるだけで幸せで……。木下くんなんかとは比べ物にならないくらい……」