ダブルベッド


「これ、お前にやるよ」

 財布からカラフルな何かを取り出し、充によこす。

 ラブホテルの割引チケットとポイントカードだった。

「俺はもう使わないから。ポイント、結構溜まってるし、行けば何かもらえるんじゃねーか?」

 沢田童貞説、崩壊。

 いや、それはいい。

 問題は、一緒に行った相手は誰なのかということなのだが……。

 充には、沢田が「言えるようになる」のを待つしかない。

 いや、待てよ。

 俺はもう使わないってことは……別れたってことか?

 いや、それとも桃香とくっついたから、あの部屋で存分にできるという線も考えられる。

 あーもう、わけわかんねー。

 充はとりあえず、チケットとカードをありがたくいただくことにした。