「あたし、初めから言ってたのよ。誰とも恋愛はしないって。なのに、みんなあたしを自分だけのものにしようとするの。あたしから涼太を引き離そうとするの」
「それは……好きになったら、誰だってそうしたいと思うんじゃないかな」
「好きになんて、ならなければいいのに」
「なっちゃったものは、どうしようもない」
「……そうね。男と女って、仲良くするとダメみたい」
桃香は握り締めていた手を緩めた。
蛍光灯に照らされ、光が充にも反射する。
指輪だった。
桃香はそれを左手の薬指に通した。
「だから、もうやめた」
「え?」



