それを聞いた桃香が笑う。
紅茶をすすると思いのほか熱かった。
アチッとカップから口を離すと、ふんわり紅茶とレモンのいい香りが漂ってきた。
「何、大人の壁って?」
無邪気に疑問をぶつける桃香は、顔立ちだけ見るとヒカリなんかよりも幼く見える。
「俺って子供だよね」
「え? 24じゃなかったの? 立派な大人でしょ」
「そういう意味じゃなくて、ガキっぽいってこと」
「うーん、どうかな。わかんない」
「まあとにかく、自分がガキだってことに気付いたわけよ」
「それで、大人の壁?」
「そう」
充はここで一つ、覚悟を決めてみることにした。



