「参ったな」

 充は喫煙所でぽつりと呟いた。

 土曜。

 ヒマといえばヒマだ。

 ほぼ毎週、金曜日は桃香と夜を過ごし、桃香が出かけるのと同時に自宅に帰る。

 それから出かければいいのだが、そんな気分になれるだろうか。

 他の女たちは連絡さえ取らなければ自然消滅できるが、やや長い付き合いであるヒカリとの関係はそう簡単に清算できない。

 断る理由が見つからない。

 いや、そもそも断る必要があるのだろうか。

 気持ちの問題か?

「なんだ、眉間にしわを寄せて」

 声をかけてきたのは、かのハゲ課長だった。