桃香もそれなりに酒を飲んでいたが、酔いなどその恐怖に吹っ飛んでしまった。 恐る恐る近寄り、足の正体を確認しようとする。 ある程度近付くと、壁の窪みに人の顔が見えた。 「きっ、木下くん?」 死体じゃないことがわかって安心した桃香は、怒りのような感情を抱いた。 「ちょっと、木下くん。起きて、起きてよ」 充はうっすら目を開けて、朦朧としながら桃香を確認した。 そして再び目を閉じる。 「もう! 起きなさいってば」 桃香がペチペチと頬を叩くと、今度は驚いて飛び起きた。