喉の乾きを感じた充は、静かに体を起こした。

 たしか目覚ましの横辺りにペットボトルを置いていたはず。

 とりあえず手に取ったTシャツを着て、暗い中ぼんやり見えるペットボトルに手を伸ばす。

 喉が満たされるまで飲んで元の位置に戻すと、背を向けていた桃香が眠ったままこちらを向いた。

 そっと前髪をかきあげる。

 目立たないし隠れて見えなかったけれど、桃香の額の右側には確かに傷があった。

 充は複雑な気持ちで傷の辺りを撫でた。

 果たして自分のやったことは正しかったのか……?

 そう思いながら。