ダブルベッド


 夜中の3時ごろだったと思う。

 彼のお母さんがやつれた顔をして、こちらにやってきたの。

「お義母さん……」

 呼んだ瞬間だった。

 人のいないホールに、バチーンと響いた。

「涼太を返してよ!」

 大人しかったお義母さんからは、想像できないような声だった。

「あなたが殺したのよ! 返して!」

 バチーン

 バチーン

「なんで……なんであんただけが生き残るのよ!」

 バチーン

 何も言い返せなかった。

 だって、運転してたのはあたしなんだもの。