ダブルベッド


 そのうち、あたしの両親がやってきて。

「涼太君は……残念だった」

 父から聞かされたの。

 残念だった、なんて。

 簡単に言わないでよって思った。

 お父さんだって、そりゃあ言葉を選んで言ったつもりだったんだろうけど。

 その時にはもう、暴れる気力なんてなかった。

 次に涼太に会ったのは、葬儀のとき。

 涼太は綺麗な顔をして棺に入ってた。

 血は綺麗に拭き取られてて、メイクされてた。

 結婚式の時が初メイクだよって言ってたのに。

 お通夜のとき、あたしはずっと涼太の隣にいた。

 人が誰もいなくなっても、泣きながらずっと涼太の隣にいた。