「涼太! 涼太!」 精一杯呼び続ければ、そのうち気付いてくれると思った。 「ダメ! 眠っちゃダメ! あたしたち、もうすぐ結婚式なんだよ?」 たくさん体を揺すれば、目を覚ましてくれると思った。 「涼太ぁ!」 叫んでるうちに、あたしは救急隊の人に引きずり出された。 「涼太を! あたしはいいから、涼太を助けてください!」 暴れてたと思う。 羽交い絞めにされて、救急車に押し込められて。 ……あたしだけ。 「涼太は? どうして涼太は乗せないの?」 興奮状態だった。