体中が痛かった。 でも無意識だったのに、ブレーキはしっかり踏んでたみたい。 人間の脳ミソってよく出来てるって、今だから思う。 でも足以外は、どこも動かすことができなかった。 「涼太?」 呼びかけてみたの。 でも、返事はなかった。 「涼太!」 声を出すと、体が痛かった。 でも、エアバッグのせいで彼が見えなかった。 「もも……か……」 掠れた声が聞こえたの。 生きてるんだって、その時はちょっと安心した。