ダブルベッド


 夜だし、ほとんど車はいなくて。

 あたしはトラックのすぐ右の車線を走ってた。

 抜こうか、それとも先に行かせようか迷ってた。

 そして。

 とある交差点の少し前。

 トラックは少しスピードを上げたみたい。

 交差点に入る頃には、後ろになんとか運送って書いてあったのが見えた。

 見えた瞬間だった。

「桃香!」

 彼の叫び声が聞こえた。

 顔を左に向けると、彼は窓を見てて。

 ああ……それからは一瞬だった。

 窓には他の車の、いや、運転手の、目を見開いた顔が見えた。