ダブルベッド




 夢みたいだった。

 この世で一番好きな人と結婚できるなんて。

 悩みがなかったわけではないけれど、あたしって幸せだなって実感しながら生きてた。

 それからお互いの両親に挨拶したり、結婚式場を見に行ったり。

 結婚式の準備って、すっごい大変なの。

 そのことで彼ともかなりケンカしたし。

 何にもやってくれないんだもん。

「桃香の好きにすればいいよ」

 ってばっか言って。

 男は何にもしないって雑誌に書いてあったけど、ほんとだった。

 式のことが大体決まって、あたしは仕事を辞めて。

 何とか新居も決めた。

 そう、ここ。