所長は整った顔をクシャッとさせて、沢田をつつく。
そしてタバコを消し、注文した芋焼酎のロックが届いたところで語りだした。
「これは俺の持論なんだけどさ」
彼の表情が少し真剣になって、充と沢田は思わずタバコをもみ消した。
煙だけがテーブルの上に漂う。
「幸せって、欲だと思うんだよね」
「欲？」
沢田が眉間にしわを寄せる。
「そう。欲。欲って、満たされると次の欲が湧いて出るでしょ？ 奈緒ちゃんとだって、初めは可愛いから友達になりたい。友達になれたら、次は彼女にしたい。彼女にできたら、次はイイコトしたい、とか」
「まあ、確かに」
「それって、幸せだから湧き出るんだよ」
