ダブルベッド


 店員が来て注文を済ませ、三人でタバコに火をつける。

 所長が充を見て微笑んだ。

「キノピーはさ、幸せって何だと思う?」

 充はまるで桃香とのデートを覗き見されていたような気分になった。

 所長は充が「幸せ」という言葉に反応したのを見逃していなかったのだ。

 充はとりあえずこう答える。

「人それぞれだと思いますけど」

「じゃあ、キノピーにとって幸せとは?」

「うーん……。嬉しいと思うこと、です」

「イイね、イイよそれ。じゃあトッシーは?」

「俺っすか? そうだなぁ。今だったら、あいつがニッコリすることですかね。滅多にないんで」

「ヘイヘ~イ! ノロケちゃって~」