沢田は観念したように力なく笑って、
「そのうち籍入れる予定です。あいつの気が変わらなかったらですけど」
と白状した。
所長は上機嫌でよかったよかったと沢田の肩をバシバシ叩き、
「まぁー奈緒ちゃんツワモノだからね。あの子を扱えるのはトッシーくらいだと思うよ」
「そうでしょうか」
「幸せにしてやんないと、逃げられちゃうよ?」
「ええ、わかってます」
幸せという言葉に、充は思わず所長の顔を見た。
その視線に気付いた所長は、店員の呼び出しボタンを押しながら充に問いかける。
「キノピーは、相変わらず脈がないんでしょ?」
「えっ?」



