ダブルベッド


 アクセルを踏みながら、充は自分の言葉を振り返る。

 実にありきたり。

 楽しいことは2倍、辛いことは半分に。

 言葉は違えど、よくテレビなんかで聞くものと同じじゃないか。

 辛いことを半分にしたところで、計り知れない桃香の心の溝はきっと埋まらない。

 人の命という人間にとって最も重みのあるものを前にして、充の薄っぺらな受け売り言葉は、情けないほどに無力だった。

 そしてそれを実感するほどに、自分が桃香を思う気持ちさえ、ほんのちっぽけなものに思えた。

 可愛い女の子を好きになって、振られてしまった。

 ただそれだけ――……と。