ダブルベッド


 幸せにする方法なんて考えたことがなかった。

 楽しい思い出を作ること。

 笑いの溢れた日々にすること。

 うーん、抽象的すぎる。

 すぐ逆上したり、暴力を振るったりしないこと。

 人間として当然か。

 お金で苦労をかけないこと。

 結婚するわけじゃあるまいし……自信もないし。

 充は自分の頬を撫でながら言った。

「わかんない。でも、辛いことがあったときはそれを軽減させようとするし、楽しいことがあったときはそれを増幅させるようにする……かな」

 信号は青になり、前の車の発車に合わせてブレーキを放す。

 桃香は黙ったままだった。