マミ先輩の目的と、友哉の目的が一緒だったから、2人は……。

 中心に居るのはあたし。そして、冬海も巻き込んでしまったんだ。

 マミ先輩も中尾先輩も、友哉だって、冬海に全く関係が無いのに。

 熱い日差しは、さっきとは変わらなくて、きっと今晩は熱帯夜になるんだろう。寝苦しいと決まって良い夢は見ない。毎年そうだ。



 さっき、冬海があたしを睨んだ時のあの目を思い出す。

 冷たい目だった。

 大人に買われて、お金を稼いで、その目で一体何を見てきたの?

 今は夏だけど、冬海はその名のように、寒い海。

 人を寄せ付けない冬の海に心を沈めて。

 あたしは、その冷たい手を温められると、勝手に思い上がっていたのかもしれない。冬海の心がどこにあるのか、何を抱えているのか。


 電車を待っている時、強い風がホームに吹いた。

 あたしは、プールに入る時の様に息を止めてみた。水の中に入る時の様に。思い出したのは、花壇で寝ていた冬海の寝顔で、呼吸が止まったこと。

 目からは涙が伝っていたけど、夏の熱い空気がきっと乾かしてくれるだろう。だから、もう少し泣いても良いよね。

 思い出すのは冬海の笑顔ばっかりで、息苦しい。

 冬海に、会いたくて仕方がなかった。






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