そんな風に、彼が私を送って行ってくれたある日。
家の前で遅めの帰宅だったお姉ちゃんと鉢合わせした。
「あらー、沙紀の彼氏?」
その日はお友達と飲んでいたらしく、
ほろ酔いの姉はより一層色っぽく見えた。
「ちょっとやめてよ、お姉ちゃん。
バイト先の先輩なの。
暗いから送ってくれただけ」
「あらー、そうなの?
沙紀の姉です。
いつも沙紀がお世話になってます」
ぺこりと頭を下げ、再び顔をあげたお姉ちゃんの顔に彼は見入っていた。
「お、俺。中本徹といいます」
「徹くんね。よろしくー。
沙紀の姉の亜紀ですー」
「おねえちゃん。
もう、酔っ払い! やめてよ」
私は姉の背中を叩き、家の玄関へ向かわせた。
「中本さん、ありがとうございました」
彼に礼を言って、早く家の中に入ろうと思った。