憎むのは、楽だった。

自分の中のこういう気持ちを向きあう必要が無くて。

自分を守ったまま、ただ他人を否定すればいいだけで。


告白するって、こんなに怖い事だったんだ。

それを乗り越えて、お姉ちゃんも和美も強くなったんだ。


そう思ったら、今までの自分が恥ずかしくなった。



沈黙は、何分くらいあったんだろう。


俯いてる私の頭に、彼の大きな手が乗って、髪をくしゃくしゃとかきむしる。


そうして振ってきたのは、意外な言葉。


「……ありがと」