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 2月に入ると、大学は殆ど休みだ。

私は週3回のバイトをこなしながら、
なんとなく暇を持て余していた。

和美とは相変わらず仲直りもできてなくて。

胸のしこりは消えないまま。

つまらない。

どうしてこう、毎日つまらないんだろう。

どうしたら、毎日を楽しめる自分になれるんだろう。



「沙紀」


聞きなれた、でも聞きたくない声に呼び止められる。

聞こえなかった振りをして行こうと思ったのに、
さすがに無視できない声が私を呼びとめた。


「ねーね」

「……比奈」