ディーラーがチェンジされ、再び勝負が再開された。

新しいディーラーは、最近入ったばかりの者だ。

緊張でカードをシャッフルするにも指が震え、捌きがぎこちない。

だが、竜治からの指示はきちんと理解し、言われた通り、チップを掛けている。
そして、竜治の指示の真意を彼女は理解しているようだ。

これなら上手くやれるかも知れない…後は自分に手が入るかどうかだ…

ディーラーチェンジしてから三ゲーム目、竜治にお誂え向きの手が来た。

伏せカードの二枚はスペードのA(エース)とQ(クイーン)。
卓上の一枚目は同じくスペードのJ(ジャック)。

他の者は、順にファーストカードがハートの7、クラブのA、ダイヤの9、ヤンがクラブの6、ディーラーがスペードの8。

順に掛け金が卓上に積まれ、二枚目がオープンされる。

竜治、スペードの10。

最初の四枚でロイヤルストレートフラッシュのリーチだ。
スペードのK(キング)が、残り三回のシュートで来ればポーカーの手役上、最強の手になるが、最悪、同じスペードでもフラッシュであれば、充分勝負になる。

隣の女が二枚目にダイヤの7を引き、表カードだけでワンペアを作った。

ヤンの二枚目は
ハートの6。
理論上、ポーカーはペアが先に出来ている方が勝つ確率が高い。

特にセブンポーカーの場合は、それがはっきりしている。

ポーカーの手役上、ロイヤルストレートフラッシュ(同じ種類でA、K、Q、J、10)から順に、ストレートフラッシュ(同じ種類で続き数字)、フォーカード(同じ数字が四枚)、フルハウス(同じ数字が三枚と二枚の組合せ…スリーカードとワンペア)、フラッシュ(同じ種類のカード)と続くのだが、フォーカード以上の手役になる確率は非常に少なく、フルハウスやフラッシュというのは、以外と頻繁に出来る。

特にフルハウスは、ツーペアから引き上がる事が結構あり、ラストカードを引く迄は手役上相手に負けていても、逆転の可能性を残した手役になる。

フラッシュやストレートはその点、手役の発展が余り見込めない。

先にペアが出来れば、最悪ツーペアの可能性もあるし、それこそフォーカードへの可能性も出て来る。

ヤン側に手が入っているのは、これ迄の流れが物語っている。