看板には、表向きインターネットカフェとか書かれているが、内容は裏スロットかバカラ等のカジノだ。
中には未だにポーカーゲームで細々と食いつないでいる店もある。

久美子に言われてみると、確かにそういう店が結構ある。

風俗店が、風営法の改正後、看板を出せなくなった事もあり、一時期は色鮮やかななまめかしい色合いの場所だったのが、今では無味乾燥な色合いになっている。

カジノ…か

竜治の中で閃くものがあった。

「久美子さん、俺、此処で失礼します。いろいろ調べたい事が出来ちゃったんで…」

「しょうがないわね。美女とのデートを途中ですっぽかした穴埋めは、今度きちんとしてね。」

「はい、必ず。」

「やだ、そんなに力まないで。貴方は貴方の道を進む事。じゃあ、何か閃いたんでしょうから、後でちゃんと聞かせてね。」

久美子と別れ、竜治は道玄坂にあるネットカフェに入った。

パソコンでいろいろ調べ、ついでに、企画書を作り、おおよその資金を見積もってみた。

五千万……

いや、どうせなら一億って吹っ掛けてみるか…
間違いなく一生ただ働きだな。
生命保険にでも入るか…

竜治の頭の中で、新しい店が、どんどん具体的な広がりを見せて行った。