凶漢−デスペラード

竜治は一睡もせず、マンションで久美子からの連絡を待った。

竜治が知ってる限りの心当たりを全部当たってみたが、誰も久美子の行方を知らない。

不安は核心に成りつつあった。

それを認めたくないという気持ちが、今はまだ強い。

浅井からは頻繁に連絡が入り、彼も組の者を総動員して、行方を調べてくれている。

昼過ぎになり、いよいよ警察に、と思った矢先、宅急便が届いた。

中身は一本のビデオだった。

すぐに再生してみると、久美子の姿が映し出された。

全裸にされ、何人もの男に犯され続けているシーンが延々と撮られていた。

見るに耐えられなくなり、早送りをして行くと、河田の顔が現れた。

カメラを見つめる河田の眼は、明らかに常人には無い狂気の色を見せていた。

(神崎、お前の大事なお人形さんは、こうして俺達が可愛がってっから安心しな。しっかし、いい泣きっぷりだよなぁ。いい写真が撮れるぜ。今回は女優がいいからな…何てったって神崎、お前の女だもんなぁ…最高だぜ。これ、レイプ物で高く売れるかも知れねえぞ!尤も、お前がこのビデオ欲しいってえなら、特別にバーゲン価格で譲ってやってもいいぞ…代金は、そうだなぁ…てめえの店が全部、それと、今後一切渋谷、いや駄目だ、東京だな…うん、東京には足を踏み入れねえ事…どうだ、安いもんだろう。ほんとはよ、もっと吹っ掛けっかなぁって思ったんだが、まあ、知らねえ仲じゃねえしよ。あっ、今そこでやられまくってるお前の女の命が惜しかったら、下手な事すんじゃねえぞ…返事は、今から言う電話番号に掛けてくれ…)

画面の中の河田が言ったケータイ番号を自分のケータイに入力した。

怒りの余り指が震え、番号入力を何度かやり直さなければいけなかった。

久美子、済まん……

俺が油断してたばっかりに……

入力した番号にすぐ電話をした。

呼び出し音が鳴り続ける。

五回…六回……

出ない。

十回…十一回……

十五回目で繋がった。