凶漢−デスペラード

竜治が赤坂の店から電話を受けたのは、丁度仕事を終えて帰宅しようかという時だった。

(竜治さん、久美子さんが…)

老いたバーテンダーの声は、動揺の余り上擦り、話しもしどろもどろになっていた。

「ようは、客を見送りに店を出たまま戻って無いという事だな?」

(はい…あのぉ、警察には……)

「そうだな…いや、取り敢えずこっちで心当たりを当たってみる…とにかく、店を一旦閉めて、久美子から何時連絡が入ってもいいように、店の電話を俺のケータイに転送して置いてくれ。警察の方は俺から連絡する。」

竜治は直ぐさま久美子のケータイに掛け直した。

電源が切られている。

大きな不安感が襲って来た。




その頃、久美子は数人の男に身体を弄ばれていた。

光量の大きい撮影用のライトで照らされた光景は、単なるAVの撮影だと言われれば、そうなのかと頷いてしまうものであった。

しかし、その場に居るのは、AV女優ではなく、久美子であり、彼女に凌辱の限りを尽くしているのは、身体中にタトゥーや入れ墨を施した河田の子分達であった。

河田は、その光景をハンディカメラで撮っている。

「おいっ、前の方ばっかりじゃなく、ケツの穴もちゃんと可愛がってやれよ。」

河田がそう言いながら、バイブやローターを男達に投げた。

もう何度、自分の身体の上を男達が覆い被さって来ただろうか。

身体の苦痛より、壊れそうになる心を保つのに、久美子は耐え切れなくなりそうだった。

射たれた覚醒剤のせいなのか、悲しい事に時々快感に襲われる。

感覚が麻痺したり、突如敏感になったりの繰り返しであった。

噛まされているさるぐつわが、自分の涎でぐちゃぐちゃになってしまい、涙と鼻水で顔もすっかり化粧が落ち、汚れている。

一人の男が、その顔に自分の精液をかけた。

「おお!お前なかなかいいじゃねえか、エロビデオはそう来なくっちゃ。ほら、皆さぼってねえで、一発いっちまった奴は玩具で両方の穴を塞いでやんな!」

男達の体液で汚れたヴァギナに、硬い異物が入って来た。

久美子に抵抗するだけの力は無い。

アナルにもう一本のバイブが差し込まれた。

激痛と共に、久美子の心が崩れ落ちて行った。