「せーんせっ!!」

「あ、宮野くん。おはよう。」

「おはよ。
で、昨日奏、先生のとこ行った?」

「えっ!?」

「あ、そのリアクションを見たところ…行ったね。
で、コクられた?」

「なっ…なんでそのことっ…。」

「あっははー先生、赤くなっちゃって可愛いーね♪
大丈夫。誰にも言ってないし、これからも絶対言わないよ。
俺は二人の恋を応援する派だし。」

「えっ…あ、私は…。」

「先生のことだから、『とりあえず』フッたでしょ?
でもねー先生。俺たち、あと1年で卒業なんだよね。
そしたらただの男と女。生徒と先生なんて縛り、なくなっちゃうよ?
せっかく奏が素直になったんだから、1年後は先生が素直になる番だよ。」

「わっ…私はちゃんと…高橋くんのことを考えて…。」

「そーかなぁ…ってか奏のことを考える前に自分のことを考えなよ。
自分の気持ち、本当の…ね?」

「本当の…気持ち…?」

「そ。一人の女として高橋奏をどう思うか。これがいっちばん大事。
先生の一年間の悩みの種だねー。」

「…なっ…そんなことないわ。」

「あーもう…ほんっと可愛いね、相模先生。
俺も惚れちゃいそー♪」

「バカなこと言わないでっ!!悩みの種は一人で充分よ!!」

「あーあ。認めちゃった。」


不覚にも宮野くんのペースに巻き込まれて自分のペースを見失った私は、足早にその場を去った。



「1年なんてあっという間なんだけどなー。
…二人の幸せ、願ってるよ?相模香織先生。」