苔むした石の上に黒い天使が横たわる。
何処かの墓地…。





「私の薔薇…。」
長い指が頬を撫で、口づけが落ちる。





空には赤い紅い満月…。






そして…。二つの月。長いまつ毛が揺れ、黄金色の月が目覚める。






「私の薔薇よ…。真っ黒に染められた美しき華よ…。扉は開いた。」







地界の扉は開いた。何処かの墓地は死人と悪魔が踊り。地面から骨ばった手が次々にはい出て来る。






「ルシュファ…。」






微笑む姿は私には優しく思えた…。私は…。救われた…。この悪魔に。






悪魔…。何が悪いかなんて…。私にはわからない。壊れた私を救ってくれたのは確かにこの…。この黒い雨だった。






再び開いた月は空を愛する。






紅い満月の空を…。






微笑む姿は急に険しくなる。月から無数の影が来る。






黒い雲が辺りを包む…。高い笑い声…。
「来たか。神よ…。また天使が来る。」






挑戦的な声。高い笑い声…。






「我が同胞達よ!幕は上がった…。倒せ。」






歓声が上がり悪魔は空に舞い上がる。






赤い紅い満月のビロード色の空に天使と悪魔が戦う。






天空はもはや…。戦場。





地上の聖地は無事なれど、空は天地の聖戦と…。





黒い雨の為に…。黒い翼の堕天使は…。雷を落とす。






その花びらを散らすまで…。怒りの翼は空を愛するが為に空を駆ける。






天使の一軍が消滅する。





空は…。戦場。
天使と悪魔が混じりあう。






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