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穏やかな日々が過ぎていく。


「――行ってきます」

「行ってらっしゃい」


最近買ったお気に入りのパンプスを履いてお母さんに見送られる。


玄関を出れば、当たり前のように蒼馬が待っていてくれていた。


「蒼馬、おはよう」

「おはよう」


側まで来たあたしの頭を撫でる。
撫でられながらあたしはチラッと下から蒼馬を伺う。


受験前に一度真っ黒になった蒼馬の髪は今は明るい茶色になっている。
太陽の当たりようによっては金色にも見えるかもしれない。
制服も卒業し、私服になった蒼馬をあたしは正直直視出来ない。


見慣れているはずだのに、やっぱり恥ずかしい。


(かっこよすぎよ……)


どんな服も似合うからまた憎たらしい。