「寄ってく?」

 ゼロはキキィーとやや不快な音をさせて門扉を開く。


 正直、おれは迷った。


 ゼロのこれまでの行動や発言からすると、心から招待してくれるという感じがしない。


 まだ会って、たった2日。


 お誘いは儀礼的なものだろう。


 ここはあっさり断って、ゼロに後悔させてやりたいと思った。


「帰りが遅くなるから……」と言って軽く手を振る。


「送ってくれてありがとう」

 ゼロは微笑んで感謝の言葉を口にした。